トリックテイキングゲーム

<「トリックテイキングゲーム」とは>

 「トリックテイキングゲーム(trick taking game)」とは、ある種のカードゲームの総称で(とらんぷゲームに限りません!)、これに該当するとらんぷゲームたちは、一大ファミリーを築いています

 ごくごく一部ですが、例を挙げますと、よくコンピューターに入っている「ハーツ」「スペード」といったゲームはトリックテイキングですし、公式ルール&世界選手権があるメジャーゲーム「コントラクトブリッジ」もトリックテイキングです。


 つまるところ、トリックテイキングの基本を知るだけで、遊べるゲームがググンと増えるのです。


 もちろん!本サイトでも、トリックテイキングゲームをいくつか紹介させていただきます・・・というわけで、このページでは、そんなトリックテイキングのいろはを、不束ながら、述べさせていただきたいと思います。◆



<共通の骨格>

 さて、トリックテイキングゲームは、みんな共通の骨格を持っています。それは、

 「プレイヤーたちが、配られた手札をもとに、トリックというミニゲームを繰り返す

 というものです。「トリック」とは、以下に示す流れで行われるミニゲームです(「トリック(trick)」という言葉は、歯車がカチッカチッと回っていく様を表す擬音語(擬態語?)から来ているのだそうです。なお、以下では、「プレイの順番は時計回り」で、「カードのランクは、A,K,Q,J,10,9,...,2の順に高い」として述べさせていただきます。実際は、ゲームによって、順番、カードランクとも色々ありうるのですが^^;)。


〜トリック〜

(1)誰かが手札から最初に1枚カードを出す(「(トリックを)リードする」と表現し ます。また、この時出されたカードのことを、「リードされたカード」、「台札」などと呼びます。これらの用語は、話をさせていただく上でとても便利なので、使わせていただきますね)。


(2)以降のプレイヤーは、順繰りに、

「手札に台札のマークのカードが1枚以上ある場合は、それらから1枚選んで出す。一切無い場合は、好きなカードを1枚選んで出す」

    ということをする。


(3)全員が1枚ずつカードを出したら、これで「トリック」終了で、出されたカードのうち、「一番強い」カードを出した人が、このトリックの勝者ということになり、トリックに出たカードを総取りする「トリックを取る」と表現します)。

  ただし、ここでいう「カードの強さ」は、単純なカードのランクでは決まらず、以下の要領で決まる。

  ・台札のマークのカードは、それ以外のマークのカードより強い

  ・同じマークのカード同士では、ランクの高い方がより強い


  例 1)4人プレイのとあるトリックで、「ハート3ハートJハートKハート2」という順番でカードが出された場合、4人とも同じマークなので、一番ランクの高いKを出したプレイヤーが、このトリックを取ります。


  例 2 ) 4人プレイのとあるトリックで、「ハート3ハート7ハートJ」という順番でカードが出され、4人目が手札にハートが無いために「クラブA」を出した場合、このトリックを取るのは、「ランクが一番高い」クラブAを出したプレイヤーではなく、台札と同じマーク(この場合ハート)で、一番ランクが高いハートJ」を出したプレイヤーとなります。


 こうしてトリックを取ったプレイヤーが、次のトリックをリードすることで、トリックテイキングゲームが進行していきます(「おいおい!最初のトリックをリードする『誰か』はどうやって決めるんだ!」というお話ですが、これは、ゲームに依ります。それと、「トリックを取ってどうするの?」というお話もありますね。これが、ゲームごとの、いわば"スパイス"の差となって現れます。単純に「トリックを取るとポイントになる」ゲームもあれば、「トリックを取るとペナルティになる」ゲームもあります。他にも、「トリックを通じて特定のカードを取ることで得点する」ゲームや、「自分が取るトリック数を正確に予想して、実際にその通りに取ってみせる」ゲームなど、色々あります)。◇


〜注意〜

 「一番強い」カードを出せばトリックを取れるわけですが、注意していただきたいのは、上記(3)や例 2 )にあるように、台札と異なるマークのカードでは、決してトリックを取れないということです。


 また、(2)から分かるように、「手札に台札のマークのカードがあるのに、異なるマークのカードを出す」ことはルール違反です(「リボーク(revoke)」と呼ばれます。「ばれなきゃ大丈夫」というお話は尤もですが(^^;)、プレイヤーたちの中にトリックテイキングの玄人がいれば、まず間違いなくバレちゃいます。玄人の方は、チェスプレイヤー同様、自然とみんなの手札を憶えちゃいますからね。そもそも、トリックテイキングゲームの面白さの秘密の一つは、「上記のような出し方の制限があるために、相手の行動から相手の手札を推察できる」ことにあるので、リボークを認めると、ほとんどのゲームは面白くなくなってしまいます。というわけで、リボークは、楽しいゲームライフを送る上で、よくありません。ただし、ゲームによっては、"スパイス"として、リボークを認めるものもあります。上で述べているのは、あくまで一般的な話です)。◇



<魅力>

 以上のご紹介で、「何だ。これだけか。」と思われるかもしれません。実際ぼくはそう思います。そして、そんなトリックテイキングゲームが大好きです。単純なのに、奥が深いのですから。

 既に、上の基本ルールだけでも、その奥深さの片鱗が伺えます。

 例えば、4人プレイで、「ハート3ハート7ハートJクラブA」という風にカードが出たら、「4人目のプレイヤーは手札にハートを持っていない」ことが全員に知れ渡るわけですし、もしこのゲームが「トリックを取る」ことを目的としているのなら、更に、「4人目は、強力なAを捨てたのだから、クラブが滅茶苦茶強い(K,Qなどを持っている)か、あるいはもうリードされない(手札にクラブがたくさんあって、他の人の手札にクラブが無いことを知っている)と考えている」といったことも見て取れるわけです(もちろん、全員がこう考えてクラブを出さなくなるよう仕向けるために4人目が敢えてクラブAを出したとも考えられます)。


 どうでしょう?トリックテイキングゲームには、記憶力や心理戦、頭脳戦の要素がありそうだと、感じられますでしょうか?(「疑わしい」と思われる方は、騙されたと思って、是非「ハーツ」を何回かプレイするか、あるいは、「コントラクトブリッジ」の入門書を紐解いてみていただきたい!奥深さが実感されると信じております。)◆



<「切り札」について>

 さて、以上がトリックテイキングゲーム共通の骨格で、これに種々の追加ルールや目的といった"スパイス"を加えて各種のゲームができていくわけですが、この"スパイス"にも基本的なものがあります。

 大抵は、その都度の説明で事足りるので、ここでは、特に代表的な「切り札(trump)」システムのみを紹介します(「切り札」が存在しないトリックテイキングゲームのことを、「ノートランプ(no trump. 略してNT)のゲーム」などとよく表現します。ちなみに、英語のtrumpが、日本語の「トランプ」の語源だと言われています)。


 「切り札」とは、普通のカードよりも絶対的に強く扱われるカードたちのことで、ゲームごとに様々なスタイルで決定しますが、大抵は、マークで指定します。

 例えば、先の例 2)では、クラブAは台札のハートと異なるマークだったので、「ハートより弱い」という扱いをされ、トリックを取れませんでした。しかし、「クラブのみを切り札として扱う」ゲームなら、クラブAは「切り札」ということになり、特別にハートより強いので、トリックを取れることになります(もっと言ってしまいますと、クラブAの代わりに、クラブ2を出したとしても、トリックを取れることになります)。トリック中に切り札が複数出た場合は、もちろん、最もランクの高い切り札を出したプレイヤーが、そのトリックを取ります。


 例 3)「クラブのみを切り札として扱う」4人ゲームのとあるトリックで、「ハート3クラブ7ハートJクラブ4」という順番でカードが出た場合、切り札中で最高ランクのクラブ7を出した人が、このトリックを取ります。


 つまり、「切り札」システムを採用するトリックテイキングゲームでは、上記(3)で述べた「カードの強さ」が以下のように変更されるわけです。


 ・「切り札」>「台札と同じマークのカードで、切り札以外のもの」>「台札と異なるマークのカード」

 ・上で同じ区分になるカード同士では、ランクの高い方がより強い


 わざわざ「台札と同じマークのカードで、切り札以外のもの」と表現したのは、ゲームによっては、マークに関係のない切り札もありえるからです。例えば、以下の例は、日本の代表的5人ゲーム「ナポレオン」では典型的です。


 例 4 )「切り札が、スペードA、ハートJ、ダイアJその他のハートのカード全てであって、ランクもこの順に高く扱う」場合、

ハート3ハート7ダイアJクラブ4ハート2」というトリックでは、出されたカードで一番強いのはダイアJ

ハート3ハートAダイアJクラブ4ハートJ」というトリックでは、出されたカードで一番強いのはハートJ

スペード2スペード10ハートAスペードAスペード5」というトリックでは、出されたカードで一番強いのはスペードA


 以上、多くのトリックテイキングゲームに採用される「切り札」システムのあらましでした。◆



 おめでとうございます!これで、トリックテイキングゲームへの扉が開かれました!よい旅になりますように!(トリックテイキングゲームを試しにやってみたいという方には、まずは「ハーツ」をおすすめします。"スパイス"が比較的少なくて、それでいて、トリックテイキングゲームの奥深さの多くを体験できると言われています(実際ぼくもそう思います))